多田千佳さん

資生堂で人材開発をする橋本有紀子さん(2015/08/06)

経歴

東京理科大学大学院 理工学研究科 応用生物科学専攻 修了
株式会社資生堂 研究推進部 総務室 人材開発グループマネージャー

メインインタビュー

-理系に進もうと思ったのはいつごろですか。
―高校一年生までは、ピアノで音大に進学したいと考えていました。しかし、それが実現できないと分かったとき、何の授業が面白いかを考えたんです。そこで生物学にたどり着きました。教科書に載っていないような最新の生物学のお話をして下さる先生がいらっしゃって、そこで興味を持つようになりました。単純に社会や英語が苦手だったというのもありますが・・・。
大学選びに関しては、就職は特に意識せずに「楽しい・おもしろい」を基準にしていました。生物学を勉強したかったので、「生物」という単語が入っていれば大丈夫だろうと気軽な気持ちで学部・学科を選択しました。

-大学ではどのように過ごされていたのですか。
―「どうせやるなら楽しんで」というスタンスで興味のある生物学はもちろん、一般教養であった倫理などにも真剣に取り組みました。
また、オーケストラ部に所属してチェロを弾いていました。オーケストラは、全員で手分けして目標である演奏会を作り上げていくものなのですが、それが今のプロジェクト運営に共通するところがあってよい経験ができたと感じています。

-大学院進学・就職までの過程を聞かせて下さい。
―わからないものを自分の目で確かめられる実験が楽しくて、もっと続けたいという思いから進学を決意しました。
大学院では微生物の研究をしていたので、就職の際には酒造メーカーを受けたりしていましたが、「かたちに残したい、喜んで欲しい」という思いから化粧品メーカーを受け、今に至ります。
当時は化粧をしない日も多々あったので、化粧品メーカーに決まった時には周囲に驚かれましたね。

-就職してからはどのようなことをなさっていたのですか。
―はじめは皮膚洗顔料に関する研究や商品開発を担当しました。
会社に着くとまずはメイクを落として、顔を半分に分け使い心地を実際に試したりもしました。
印象深いのは、手を洗うのは固形石鹸が普通だった時代に、一般のお客様向けの液体のハンドソープを国内化粧品会社として初めて開発したことですね。殺菌効果はもちろん、肌にも良いものを目指すために洗顔料の成分を配合したりと、かなり試行錯誤しました。おかげで今現在でも様々な場所で利用されているロングセラー商品となり、見かけるたびにうれしくなります。長く使ってくれるものを開発するのが研究者の醍醐味であると感じているので、詰め替えを選んでもらえたりするととてもうれしいですね。

-その後はどのようなことをされていたのですか。
―洗顔料の開発のあとに、基礎研究、研究全体の管理、化粧品原料の開発、香りの研究のマネジメント、そして今は人材育成を担当しています。これはどの民間企業にもいえることだと思うのですが、部署移動があることが大半なので、日々新鮮であり、日々勉強が欠かせません。ここで役立つのがアンテナを張って新しい情報を手に入れ、そしてそれを取捨選択できる能力だと思います。この力は大学で学んだことの一つと言えると思います。
大学で学んだことが直接生きることは少ないかもしれませんが、こういった力は役立つはずです。
そしてもう一つ大学で学んだことは、目標を明確にして仮説を立て検証する力だと思います。いずれも欠かすことのできない力だと思います。
今発売されている商品の中に落ちにくい口紅があるのですが、開発担当者は思いついた仮説をもとに何万通りとある組合せから最適なものを見つけたそうです。しかし科学は日々進歩するので、今よりもより優れた素材が見つかるかもしれないですよね。こういった情報を逃さないためには、アンテナを張って情報を手に入れていく力が必要であるとわかっていただけると思います。

-理系で大変だったことを教えて下さい。
―忙しかったことですね。部活が忙しかったこともあり、大学生のときには家庭教師のアルバイトしかしたことがなかったので、他の種類のアルバイトもしてみたかったですね。
そして、社会人になると長期休みを取ることは難しいので、バックパックで海外を2~3週間程度旅したりもしたかったですね。

-最後に伝えたいことをお願いします。
―どんなことでもいいので真剣に一生懸命何かに打ち込んだ経験が役立つと思います。私の場合はそれがオーケストラでした。
よく誤解を受けることがあるのですが、研究は一人で閉じこもってするものではないんです。チームで協力しながら進めていきます。だから、コミュニケーション能力も大切です。
このような力は何かに打ち込む中で身につくのではないかなと思います。


有紀子さん、貴重なお話をありがとうございました!